公益財団法人  数学オリンピック財団



第45回2004年 国際数学オリンピック(IMO)ギリシャ大会


◆参加報告

数千年前の神話世界と現代科学との不思議な混合体のようなギリシャの首都アテネで、 7月9日から19日まで第45回国際数学オリンピック(International Mathematical Olympiad=IMO)が開催された。 参加85ケ国の団長達は7月6日に一足早くギリシャ入りし、世界遺産の町デルフィに宿泊した。 9日には選手団が次々とアテネに到着。 1日休息をとった後市内のオディトリアムで開会式が行われた。 恒例の各国選手団による舞台上の行進の折、日本選手6名は舞台に上るや侍のスキットを上演して満場の拍手喝采を受けた。 この様子はギリシャのテレビには勿論、日本のテレビ(TBS)でも放映された。 12日、13日はいよいよコンテスト。アテネ大学で午前9時から4時間半に亘って行われた。 日本選手はみんな精一杯頑張り、過去最高の92年8位と並ぶ見事な成績を修めた。

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メダル 氏名 所属校 学年
清水 俊宏 早稲田実業学校高等部 高3
西本 将樹 灘高等学校 高3
松本 雄也 武蔵高等学校 高3
入江 慶 筑波大学付属駒場高等学校 高3
栗林 司 筑波大学附属駒場高校 高2
片岡 俊基 三重県高田中学校 中3


◆選手達の声

清水 俊宏

今回のIMOが僕にとって最初の海外旅行となった。アテネ市内はオリンピック前ということもありギリシャの国旗が多く見られ、 町を歩いていると「コンバンワ」と声を掛けてくる人もいて日本人に対しては好意的だった。 コンテストでは金メダルをとることができ満足のいく結果が残せた。 日本チームの他の人もみな出来ていたので今回の日本順位は上がるだろうと期待していたが、国際順位は8位で、 過去の記録を更新できなかったことが少し残念だった。 コンテスト後は外国の人達とサッカーやトランプをして国際交流を深めることができ最初で最後のIMOライフを十分に楽しむことが出来た。 ガイドのゼフィーさんそして財団関係者の皆さん本当に有難うございました。

西本 将樹

町中がギリシャ文字で面白かった。ほとんど雨は降らず、太陽の高度が高く、暑くて喉が渇いたが、わりとDryで過ごしやすかった。 観光先はどこも非常に景色がよく気持ち良かった。 町にはOlympic 前だからか、民家も含めて色々な所に国旗があった。 全体的に町の雰囲気は日本に近いものに感じた。 コンテストは比較的簡単で、僕の好きなType の問題が多く、何とか33点・・金メダルをとることが出来た。 最後のIMOを金で終われて良かった。今年も色々な人と知り合えて楽しかった。今までのIMOに参加した時の友人と再会できたりした。 こういうのもIMOの醍醐味のひとつであろう。このような素晴らしい大会の裏には多くの人の甚大な努力があると思う。 大会の運営にかかわった皆様、そして大会をより素晴らしいものにしてくれた500人近い選手のみんな、本当に有難うございました。

松本 雄也

ギリシャは暑い国であると事前に聞いていたが、実際には日陰にいればさほど暑くなく、 日が当たっても灼熱なわけではないので結構過ごしやすかった。 アテネは建物の高さがだいぶ平均化されていて(5階位)、又地図を見るか、丘の上から眺めると分かるが局所的には道路が格子状だった。 公共機関はバスと地下鉄があるが、地下鉄は東京のものほど入り組んでいなかった。 バスはそれなりに路線が多かった。 1日目は易しい幾何と関数を含む良いセット、2日目は易しい不等式と宇宙数論を含むこれまた良いセット。 しかしこの日は朝から体調が悪く、体は重いし頭は痛いし大変だった。 それでも何とか頭脳が明晰なうちに2時間ぐらい4と6を解き終えた後、体調がかなり悪化し何も考えられず書けなくなる。 コンテスト終了後IMOドクターに診ていただくと熱が38.5度もあり、ホテルに運ばれ静養の日々を過ごす。 「数学には体力が必要らしい」。Contestだけでなく国際交流もIMOの主なる目的のひとつである。 開会式でのパフォーマンスやFarewell Banquetでの踊りとかは楽しかった。

入江 慶

今年は去年より英語が進歩したのでかなり深く交流することが出来た。 特に数人の人とは個人的にかなり長い時間話すことが出来た。思い出す人をあげるときりがない。 筆頭はイスラエルのガイドのディオニソス。おそらく彼とは今後もe-mailなどで連絡を取り続けることになり又色々なことを教えてくれるだろう。 彼との出会いは今回のIMOでの最大の収穫だった。生徒とは本当に多くの人と交流したのですべてを書くことは難しい。 沢山の楽しい人と出会った。交流のクライマックスは最終日のパーティだった。 パーティは野外のゴルフ場ですごく素敵な雰囲気の中で行われた。 パーティはバイキング形式で食事は素晴らしかった。そうこうしているうちに中央のステージでダンスが始まった。 ダンスも本当に楽しかった。 2年間のIMOで得た本当の大きな収穫は自分が普段住んでいる世界の外にこんなに沢山の素晴らしい人達がいること、その実感だ。 IMOは世界の輝く側面を僕に見せてくれ、何か自分の人生が現実の世界を抜け出して広い世界へと広がっていくような気分になる。 僕はこれからどう生きていくか分からないが、それはIMOのような輝きに満ちたものであって欲しいと思うし、実際そうなるだろう。 そう感じられるのは間違いなく2回もこのような素晴らしい大会に出ることが出来たからだと思う。

栗林 司

今年の日本はかなりいい出来だったと思う。僕個人としては今回の試験は少し悔いの残る出来だった。 今回4位〜10位がかなり僅差だったので、来年は金をとって国際順位も5位ぐらいにしたい。 試験後は色々な国と交流することが出来た。サッカーが普段は嫌いな僕でも韓国やラトビアとサッカーをした時は楽しく感じられた。 他にもトランプをしたり、パーティの時に一緒に踊ったりと楽しいときが多かった。 ただ英語力の不足を痛切に感じられた。今年会った人の中で来年も来られるという人が何人かいたので来年がとても楽しみだ。 世界各国から数学好きが集まって一緒になって遊んだり騒いだり出来るなんていう機会は一生の中でもIMOだけだと思う。 行く前に想像していたよりずっと楽しかった。 僕は来年が最後のチャンスになるので、ぜひ参加してコンテストも、国際交流も精一杯やりたいと思う。

片岡 俊基

パリのシャルル・ドゴール空港は広い。「Bording passって何?」という感じで入国審査に時間がかかった。 ギリシャ着で飛行機から降りるときに「コンニチワ」と言われた。会場に着いて昼食(とても良い)後、少し外に行くことになった。 バスの切符を買うとき「45cents」と言っていたら4枚買ってしまった。 どこからどこまで乗っても45centsらしい。アテネには普通に神殿が立っていた。 開会式での日本チームのパフォーマンスは大成功。コンテストの翌日博物館へ行った。 昼食のπitaというのがおいしかった。16日、運河っぽいところでキーホルダーを9ケ買った。 景色が良いので写真をとる。試験は2で大きなミスをして銀になってしまった。今年は最低点が27とかでかなり強かった。 ホテル内で滝が見られたのが楽しかった。

◆国際順位 (参加国85カ国、486名)
順位
中国
アメリカ
ロシア
ベトナム
ブルガリア
台湾
ハンガリー
日本
イラン
10 ルーマニア
11 ウクライナ
12 韓国
13 ベラルーシ
14 インド

開催国の Web Site は、下記の通りです。

http://www.imo2004.gr


◆参加者の写真

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アレオパゴスの丘 アレオパゴスの丘から見た
パルテノン神殿
アカデミーの前で
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Posting Scores を見る団長 国旗を羽織る金メダリスト
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表彰式
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遺跡見物
ゴールドメダリスト
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開会式でのギリシャダンス 外国チームと